雑草図鑑Weed picture book

雑草図鑑

雑草は、農耕地はもちろん人々が生活するおおよそ全ての場所に生育し、非常に身近な存在です。農耕の歴史が物語っているように、作物を雑草から保護することはとても重要な問題で、現在でも雑草との闘いは続いており、雑草の防除はもちろん、雑草の有効利用についての研究にも目が向けられています。
農耕地に雑草が繁茂すると作物が必要とする土壌中の養分や水を奪い、日光を遮り、作物の生育する空間を占領して生育を著しく阻害します。その結果、収量が減ったり、品質が低下するなどの「雑草害」が生じます。雑草害により収穫が5割、7割に減収したり、極端には収穫が皆無となることさえあります。したがって作物の栽培では「除草」は大変重要な問題で、大昔から農業と雑草防除は切っても切り離せない関係にあるのです。
人が管理する場所すなわち公園、芝地、道路の法面などでも、植栽や景観を維持するために除草剤が利用されている場面があります。傾斜地や民家周辺も同じで、人手による除草作業では非常に多くの労力と経費、時間がかかるためです。
このように、除草剤の上手な使用で効率的な雑草管理ができるようになっています。
ちなみに水田では、手取り除草や手押し除草機など人力による除草が主な手段であった1950年以前の雑草防除は、10a当たり50.6時間、約1週間を要していました。その後除草剤の普及が進むにつれ除草労働時間は大幅に削減されて、今では10a当たりわずか1.1時間程度となっています。